(2025.10.26)『2025年度プログラム評価入門セミナー第4弾:ロジックモデル作成研修②』を開催しました。
2025年10月26日(日)13時から、『2025年度 プログラム評価入門セミナー第4弾:ロジックモデル作成研修②』を、日本社会事業大学文京キャンパスにて開催しました。
2025年度のプログラム評価入門セミナーは、以下の4弾シリーズで実施してきました。
●第1弾:プログラム評価入門セミナー(ホームページにて動画公開中)
●第2弾:プログラム評価勉強会(終了)
●第3弾:ロジックモデル作成研修①(終了)
●第4弾:ロジックモデル作成研修②(今回)
今回はシリーズの最終回として、対面形式でのロジックモデル作成研修を実施し、25名(事務局含めて30名)の方にご参加いただきました。福祉・医療・教育・NPOなど、さまざまな分野で実践や事業運営に携わる参加者が集まり、立場や経験の違いを越えた活発な対話が行われました。
ロジックモデル作成を主軸に据えた午後半日の研修
本研修は午後半日(13:00~17:00)のプログラムとし、ロジックモデル作成そのものに十分な時間をかけることを主な目的として構成しました。
冒頭では、ロジックモデルの基本的な考え方や、プログラム評価における位置づけについて簡単に確認したうえで、演習事例として「地域で支える子育て孤立防止プロジェクト」を紹介しました。この事例は、子育て期の母親が地域の中で孤立していく状況を出発点とし、支援を「届ける」だけでなく、「母親が支援を活かせるようになること」を目指す実践を想定したものです。

問いを重ねながらロジックモデルを組み立てるワークショップ
研修の中心となるワークショップでは、参加者を複数のグループに分け、模造紙とポストイットを用いながらロジックモデルの作成に取り組みました。
ワークショップでは、ファシリテーターが次のような問いを段階的に投げかけながら進行しました。
●「この取組みが最終的に目指すこと(最終アウトカム)は何でしょうか?」
●「最終・中間アウトカムを達成するために、誰のどのような変化(直接アウトカム)が必要でしょうか?」
●「直接アウトカムを達成するための手段・取組みとして、どのようなことが考えられるでしょうか?」
参加者はまず自分の考えをポストイットに書き出し、それらを「私たちの意見」として模造紙に貼り出しながら議論を重ねました。特定の正解を提示するのではなく、最終アウトカムから逆算しながら、必要な変化や取組みを問い続けることが重視されました。
模造紙には、活動、直接アウトカム、中間アウトカム、最終アウトカムに関する意見が重なり合い、手段―目的関係を行き来しながら整理が進められていきました。完成したロジックモデルは、整った「完成品」というよりも、対話と試行錯誤の痕跡が残る形となっており、参加者が論理や価値を吟味し続けたプロセスそのものが可視化されていました。

ロジックモデル作成までをWSの到達点に
今回のワークショップでは、指標の設定や評価計画の作成までは行わず、ロジックモデル作成までを到達点としました。
拙速に指標へ進むのではなく、
●どの社会的課題を出発点にしているのか
●どの変化を「成果」として位置づけるのか
●活動とアウトカムの関係は十分に説明可能か
といった点について、参加者同士が十分に対話する時間を確保することを重視しました。
講義による評価理論との接続
ワークショップ後半の講義では、作成されたロジックモデルを踏まえながら、評価との接続について補足的に整理を行いました。
セオリー評価、プロセス評価、アウトカム評価・インパクト評価といった評価の枠組みを確認し、
●「このロジックモデルを前提にすると、次にどのような評価設問が立てられるのか」
●「評価を行う場合、どの部分を検証対象としうるのか」
といった見通しを共有しました。
これにより、ロジックモデル作成が評価の出発点となること、また評価はロジックモデルを問い直し、改善していくプロセスであることが改めて確認されました。

参加者の声
事後アンケートでは、多くの参加者が「満足した」「大変満足した」と回答しました。自由記述では、次のような感想が寄せられています。
●ロジックモデルを「完成させること」よりも、「考え続けるための枠組み」として理解できた。
●最終アウトカムから問い直す進め方が印象的で、自分の事業が手段先行になっていたことに気づかされた。
●他分野の参加者の意見を聞くことで、自分の実践を相対化することができた。
●直接アウトカムを丁寧に考えることで、これまで曖昧だった「誰にどのような変化を期待しているのか」が明確になった。
●指標設定に進む前に、ロジックモデルをここまで議論することの重要性を実感した。
●評価は難しいものだと思っていたが、ロジックモデルから考えることで、評価への入り口が見えた。
本研修は、ロジックモデルを単なる図表として学ぶのではなく、問いを重ねながらプログラムの意図や価値を可視化し、関係者間で共有するための思考プロセスを体験する場となりました。
ご参加いただいた皆様のおかげで、『2025年度プログラム評価入門セミナー(全4弾シリーズ)』を無事に終了することができました。改めて、心より御礼申し上げます。
今後もPBEE研究・研修センターでは、実践と評価をつなぐ学びの場を継続的に提供してまいります。引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。
文責:新藤健太(PBEE研究・研修センター 業務執行理事)
