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2025.09.27 Event(information) Event(report)

(2025.9.27)『(2025年度輪読会)プログラム評価~対人・コミュニティ援助の質を高めるために~』の第6回を開催いたしました。

2025年9月27日(土)18:00より、2025年度輪読会の第6回を開催しました。今回の範囲は《第3部》(3-1)「評価クエスチョン」から(3-2)「プロセス評価」までで、報告は藤本優氏(PBEE研究・研修センター事務局)が担当しました。
本章では、プログラム評価における「問いの立て方」と「実施過程の検証」という、評価の根幹を成す2つのテーマが扱われました。藤本氏からは、評価クエスチョンの定義や4つの視点(アカウンタビリティ、プログラム改善、価値判断、評価研究)の概要が整理されたうえで、ロジックモデルを活用して問いを構造化する方法が報告されました。その後のディスカッションでは、テキストで提示されている整理に対して多面的な意見が交わされました。
まず焦点となったのは、「4つの視点」の妥当性をめぐる議論でした。ある参加者からは、「価値判断という視点は独立して存在するものなのか」という疑問が呈されました。プログラムが「適切だったか」「十分だったか」といった問いは、アカウンタビリティや改善の文脈にも含まれるため、価値判断だけを独立させるのは難しいのではないかという意見です。また、「評価研究」という視点も、他の視点から切り離すことは難しく、むしろメタ評価(既存の評価の妥当性を検討する評価)の文脈でのみ独立した位置を持つのではないか、との見解が共有されました。次に議論が展開したのは、プロセス評価の位置づけについてでした。テキストでは「中間地点における評価」と記されていましたが、複数の参加者から「プロセス評価は中間に限らず、導入期や最終段階でも実施できる」との意見が出されました。
また、導入ステージにおける設問として挙げられた「なぜ期待される効果を生み出せるのか」という問いが、果たしてプロセス評価の範囲に含まれるのかという点も議論となりました。この点については、「その問いはセオリー評価(理論的因果構造の検証)の視点に近い」との意見があり、プロセス評価とセオリー評価の関係性をどのように整理するかが改めて問題提起されました。形成的評価の説明部分についても、「アウトカム評価のような厳格な方法は不要」との記述に対し、「厳格な方法が求められるのはインパクト評価であり、アウトカム評価まで含めてしまうのは誤解を招く」との指摘が出されました。
さらに、プログラムの「発展ステージ」を「規模の拡大」として記述している点にも違和感が示されました。「発展」とは必ずしも対象数を増やすことではなく、内的妥当性を高める、すなわちプログラムの理論的・実践的な精度を高めていく方向性も含むはずだという意見です。この議論は、評価が成果の量だけでなく質の深化をどう扱うかという根本的なテーマへとつながりました。
議論の終盤では、「プロセス・ユーズ」や「モニタリング」といった用語の使い分けについても検討がなされました。プロセス・ユーズは、プロセス評価に限定されず、評価活動全般を通じて生じる変化や学びを指す概念であるという意見が共有されました。さらに、「効果顕在ステージ」という表現にも違和感が示され、「効果は段階の終盤に突然現れるものではなく、実施過程の中で徐々に形成されていくものである」との指摘もありました。
総じて今回の輪読会では、テキストの整理を鵜呑みにするのではなく、概念や用語の位置づけを批判的に検討する姿勢が際立ちました。特に、価値判断の扱い、プロセス評価の射程、発展と拡大の違い、そして評価段階ごとの目的の違いなど、評価の理論構造に踏み込んだ議論が展開されました。最後に、「なぜ良い結果が得られたのか」を説明するには、プロセス評価やアウトカム評価の結果に加えて、社会学・心理学などの理論的枠組みとの照合が欠かせないという点が確認され、評価の理論と実践を架橋する重要性が改めて共有されました。
次回第7回は10月25日(土)、《第3部》(3-3)「パフォーマンス測定」から(3-5)「アウトカム評価のアプローチ」を予定しています。「(2025年度輪読会)プログラム評価~対人・コミュニティ援助の質を高めるために~」について、ご関心のある方はどの時期からでもご参加いただくことが可能ですので、是非ご参加ください!その際はこちらのPeatixサイトから参加のお申込みをお願いします。
賛同会員の皆様には輪読会の動画配信サービスも行いますので、宜しければこちらから賛同会員にお申込みいただき、本輪読会には「賛同会員」として参加していただけましたら幸いです。

文責:新藤健太(PBEE研究・研修センター・業務執行理事)

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